私的な意見も入るため「医療の豆知識」ではなく「院長ブログ」で記載させていただきます。よく体重を落とすにはどうすればよいですか?と質問を受けます。では体重を落としたいと思う理由は何でしょうか?
- 血糖値、脂質、血圧を下げたい(生活習慣病をよくしたい)
- 若々しくありたい
- 元気でありたい
色々な理由でいわゆる「ダイエット」を志す方が多い一方で、難しいと思ってしまい断念することが多いのも事実です。私も学生時代に少しだけスポーツをやっていましたが、社会人になり体を動かす量が減り体重増加を繰り返してメタボ医師になっています。何とか解消しようと覚えているだけでも過去に3回減量に試行錯誤したと思います。試行錯誤した経験を元にコメントさせていただきます。注意事項として「体重減らすこと」が目的ではなく、「脂肪を減らす=体脂肪率を下げる」が重要となります。体重が変わらなくても脂肪減少または体脂肪率が低下すれば、上で上げた動機は改善されます。
1)大原則:摂取カロリー<一日消費カロリー
どのような食事や運動を行っても上記の大原則は不変です。運動消費カロリーを頑張って増やしても、総摂取カロリーも一緒に増えれば体重は増加してしまいます。60㎏の方が1時間散歩すると約200kcalを消費しますが、炭酸飲料500ml(40kcal/100ml)を運動の際に摂取するととんとんになってしまいます。また一日一食抜きダイエットをしても間食として摂取が逆に増えると体重は増加します。大事なことは一日にどれくらいのカロリーを消費しているかを判断して、それを超えない食事管理が必要になってきます。個人的な目安として一日消費カロリーの90%を脂肪減少目標時の摂取カロリーと考えています。消費カロリーの推定については医療の豆知識の記事をご参照ください。
2)食事摂取内容のバランスをとる事
食事の三大栄養素をバランスよくとる事が大事になってきます。PFCと呼ばれる蛋白質・脂質・炭水化物の割合となります。極端な割合としてケトジェニックダイエットがありますが、継続困難であることや実際に行うことが難しいことから省きます。よくあるダイエットとして糖質制限があります。確かに糖質過剰は問題になってきますが、糖質中心の食事(パン・麺類・丼ものなどを中心)をされていた方が食事バランスを変えずに糖質制限または食事回数を一回抜いたりすると思わぬ結果となることがあります。制限した結果体重は減りますが体脂肪は変わらず、筋肉量が中心として減少することがあります。エネルギー不足時には蛋白質をエネルギーに変換しようとする結果、筋肉量が減量しやすくなります。またリバウンド時には糖質制限して減った筋肉量はそのままで、脂肪だけ増加することになります。糖質制限だけすると逆に体脂肪が増え、体重が減りにくい体になる可能性があり注意が必要です。減量期ならびに筋肉量増量期には従来以上に蛋白質摂取を注意する必要があります。総摂取カロリーを上げずに上手に蛋白質を必要量摂取する食事の工夫が必要になってきます。
3)継続できる運動をする事
1)で上げた一日消費>総摂取カロリーの大前提を食事療法だけで行い、体脂肪量と体重を落としていく事は非常に難しいです。確かに摂取カロリー制限にて体重は減少しますが、残念ながら筋肉量と脂肪が同時に落ちていきます。筋肉量が低下すると基礎代謝量が低下するため、同じ食事を継続しても減りにくくなる結果となります。筋肉量を維持または増量するためには適切な運動を無理なく継続する事が重要になります。運動内容には散歩をはじめとする「有酸素運動」と筋肉トレーニングなどの「無酸素運動」があります。一般的には散歩の有酸素運動が推奨されています。一回の有酸素運動の消費カロリーは少ないですが、継続して積み重ねていくと非常に大きな結果となります。一回100kcal(60㎏の方が30分散歩)でも週2回で月に800kcal・年に10000kcalの消費につながります。ただし有酸素運動をやりすぎると筋肉分解が促進したり代謝が低下して体重が減りにくくなる事も指摘されています。また歩きすぎにて膝などの関節を痛めたりする原因や運動に割く時間が取れず中断の原因となったりもします。無理なく継続できる運動時間や運動量が望ましいと考えます。また筋肉維持は基礎代謝量の維持にもつながります。有酸素運動では筋肉量UPを期待がむずかしく、個人個人にあった筋肉トレーニングを生活に取り組んでいく必要があります。筋肉UPによりサルコペニアやロコモを回避し、転倒のリスクを軽減できます。また筋肉量が増加する事により20数kcalの基礎代謝を上げる計算となり、一日消費カロリーは25~30kcal/日の消費が増量します。1ヶ月で750~900kcal・1年で9000~10800kcalとなり年間で1.5㎏脂肪減少の計算となります。ただ筋量維持またはUPする場合には下肢が大事になります。臀部から足までで全身の約70%を占める大きな筋肉であり、転倒の予防にも重要と考えます。上記を踏まえて下記の運動をよく提案しています。筋肉トレーニングも無理すると怪我のもとになりますので、無理なく継続できる内容を相談させていただいています。
- 家事などの日常生活活動などの非運動性活動の増加:一日1000~2000歩余計に歩く
- 週2日 一回30分の有酸素運動 散歩3000歩など
- 週3日以上 下肢を中心とした自重筋肉トレーニング(10分程度)
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