厚生労働省から運動の大切さの解説が以下に様にされています。
「身体活動量が多い者や、運動をよく行っている者は、総死亡、虚血性心疾患、高血圧、糖尿病、肥満、骨粗鬆症、結腸がんなどの罹患率や死亡率が低いこと、また、身体活動や運動が、メンタルヘルスや生活の質の改善に効果をもたらすことが認められている。更に高齢者においても歩行など日常生活における身体活動が、寝たきりや死亡を減少させる効果のあることが示されている」
- 心肺能力の向上(長期間体を動かすことが容易に)
- 体脂肪減少(有酸素運動による脂肪燃焼、基礎代謝増加により脂肪減少)
- 基礎代謝量の増加(筋肉量増加による痩せやすい体質へ)
- 筋力の向上(寝たきり・転倒・骨折の予防に)
- 生活習慣病の予防・改善
- 総死亡率の低下(運動0から少しの運動するだけでも死亡率に差がでます)
- メンタルヘルスの改善(気分の落ち込みが減ったり無くなります)
- 骨粗鬆症の予防・改善(骨量の増加が期待できます)
- サルコペニアやロコモティブシンドロームの予防(要介護や寝たきりへの回避)
- 関節や筋肉が固くなることを改善(可動域の改善)
運動する事のメリットを箇条書きにすると上記になります。ただメリットをわかっていても運動する行動に移せない人が多いのも事実です。運動できない多い理由を下記に箇条書きにしてみます。
- 時間が無い(仕事や家事でやる事が多い)
- 日常生活で疲れるから(仕事や家事で精一杯)
- なんの運動をすれば良いかわからず、始められない
- 運動の必要性を感じない(運動しても変わらない・効果が少ない)
- 運動すると痛い箇所がある(膝や腰など)
- 昔から体を動かす習慣が無い・興味がない
- お金がかかる
- 年だから
運動しようと思ったときによくあるのが、一回に30分以上(人によっては1時間)をしなければならない・週に4~5回以上しないといけないなど時間がかかると思ってしまう事も多いです。結果、時間がかかるので日常生活で運動をする時間がないと思ってしまいます。また最初から運動強度や時間のハードルを上げてしまい、すぐやめてしまう場合や何をすればよいかわからず試行錯誤してしまう可能性もあります。体脂肪を減らしたくて有酸素運動の効率を考えてしまう場合、仮に60㎏の人が30分散歩しても90kcalと少ないので90kcalの食事制限すれば良いと思ってしまう人もいます。年を取ってきているのだから今更運動に時間を取られるより、少し食事を控えて自由に生きたいと対談する雑誌記事も見たことがあります。食事を控えて運動量が低下すると、ますます筋肉の減少は大きくなります。年齢とともに筋肉量は年間0.5~2%程度減少するため、対策しないと20歳時に比べて50歳時には80%・80歳時には50%まで筋量は低下します。筋肉量が低下すると太りやすい体質→更に運動量がへる→太る→・・・という負のループとなり、上記で上げたメリットの逆のリスクが増えます。まったく運動習慣ない方がほんの僅かだけ運動するだけでも、死亡率が大きく減少する報告があり、まず時間をかけず継続できる運動を考えてみませんか?
運動には有酸素運動と筋肉トレーニングの2つがあります。この2つの運動を少し説明させていただきます。
<有酸素運動>
有酸素運動は、体を動かすための基礎体力や持久力が身に付くほか、心肺機能の向上が期待できます。さらに脂質異常や肥満の解消といった効果が見込めます。代表的な運動として、散歩・ジョギング・水泳・サイクリングなどがあります。以前は脂肪燃焼のために30分以上一回に継続しないと効率が悪いとされていましたが、現在は10分×3回など分割しても効果は変わらないとされています。一度に時間をかけなくても少しずつを重ねていけば問題ありません。運動習慣が無い場合に下記を提案します。
- 一日10~20分を散歩(毎食後3~5分散歩+他少しだけ散歩など)
- 週に2回を目標に趣味の運動を30分トライ(時間なくて出来なくてもOK)
有酸素運動は心肺機能の向上と脂肪燃焼を期待します。また食後数分の運動でも血糖値は低下し、耐糖能異常の改善にもつながります。一日10分の散歩+1-2回の30分の散歩でも一か月で8~9時間、年に100時間を超える散歩になります。これは60㎏の方であれば18900kcalの消費となり年間で約2.6㎏以上の脂肪減少につながります。また少しの運動でも生命予後が変わってきます。ただし有酸素運動のやりすぎは逆に筋力低下や怪我にもつながるため、やればやるほど健康に良いのではない事を確認してください。
<筋肉トレーニング>
筋肉トレーニングと聞くとハードルがあがると認識される人も多いです。しかし上記の有酸素運動すれば筋肉もつくと頑張られる方が多いですが、ある程度以上は筋肉は肥大しません。筋肉の維持や増量を期待する場合には筋肉トレーニングが必須になってきます。上記に記載しましたが年齢を重ねれば重ねるほど年間に筋肉量は減少します。維持する・または増加させるには若い時よりも十分な蛋白量を摂取すること・適切な筋肉トレーニングが必要になってきます。ただ蛋白摂取が少なくトレーニングを行っても逆に筋肉量が低下する可能性があります。また過度な筋肉トレーニングは怪我や疼痛につながります。短期間ではなく長く継続できる運動が必須となります。筋肉トレーニングといってもフィットネスクラブに入会したり、運動器具を購入したり、長時間のトレーニングも必須ではありません。膝や腰の疼痛など運動に差し支えない場合には、まず最初の運動として、短時間の下肢の自重筋肉トレーニングを推奨します。理由としては下肢で約70%の筋肉量があり大きい事・歩いているため自重ですでに運動負荷に耐えられるためです。おなかを引っ込ませよう・二の腕を細くしたいからと腹筋・二の腕筋トレする時間があれば同じ時間で大きな効果を得る事ができます。また脂肪を減らすことを目的とした場合、筋肉量1㎏増加すると基礎代謝増加・筋肉量維持から年間に2㎏少し脂肪を減少することも期待されます。
- 椅子などに座った状態から立ち上がり(運動習慣が無く不安な場合)
- スクワット/ワイドスクワット
- スタンディングカーフレイズ
- バックランジ(臀部から大腿の筋量UP ヒップラインにも効果的)
- ブルガリアンスクワット(上記トレーニングが不安なくできる場合に)
筋肉トレーニングもやりすぎは逆効果となります。一般的には2-3日に一回程度が推奨されています。怪我をしないように継続できる運動を行う事が大事となります。まずは無理せずに試してみてはいかがでしょうか。
<まとめ>
適度な運動習慣を取り入れれば、生活習慣病の予防が期待できます。また余分な脂肪を減らすことが可能です。ストレス発散や気持ちの落ち込み回避など、メンタルヘルスにも良い影響を与えられるため、心身の健康につながります。有酸素運動や筋力トレーニングなど、運動の種類によって得られる効果も変わってきます。自分の体力や運動機能を踏まえて、怪我する事なく無理せずに継続できる運動習慣を探してみましょう。
- 運動習慣ない人は、まず一日の中で10分歩いてみませんか(食後3分など)
- 座る事が多い生活から、ちょこちょこ動くイメージで生活リズムを整える
- 余裕ができたら週に2日、趣味で継続できる有酸素運動を無理なく
- 有酸素運動だけでは筋力維持・増量はできないので、最初5分程度の筋トレを
- お勧めは自重を用いた下肢トレーニング(時間効率最優先)
- 筋トレは週に2~3日程度(自重だけなら毎日でも可能、でもやりすぎは逆効果)
- 長時間ではない継続できる有酸素運動+負担なくできる筋肉トレーニングのセット
- いつから始めますか?→今でしょう!