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メタボ医師の減量試行錯誤日記~半年経過して~

2023.10.28
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従来の食事指導での限界ならびに個々に応じた食事内容の設定の必要を感じ、クリニックHPのお知らせ内の医療の豆知識・院長ブログにて、食事摂取量の考え方・食事摂取バランス(特に蛋白質)・運動の重要性などまとめてきました。またこれまでに生活習慣病に対して減量指導をすることが多かったのですが、開院契機に自身の生活習慣を見直してみようと4月から試行錯誤し半年経過したのでご紹介させていただきます。その試行錯誤の中で自身の経過からポイントや反省点を時系列ごと・要点ごとにまとめていきます。

<現状把握・生活習慣の原因検索・対策の立案2023/4>

身長183㎝、体重96㎏、BMI28.7㎏/m2、体脂肪率32%、基礎代謝1780kcal:2023年3月末の状態でした。推定一日消費は2314kcalであり体重増加の原因として朝食事400kcal・昼食事700kcal・夕食800kcal・間食300kcal・飲酒週末の食事にて2200+αkcalと摂取量増加などによる影響と判断。食事2000kcal(間食だけ中止)の上、運動(水泳30分~1時間を週3~5回)と総摂取量と有酸素運動だけ設定。運動強度は5.8メッツと(国立健康・栄養研究所のHPより(改訂版「身体活動のメッツ(METs)表」を参照して判断。280kcal/回の週3~4回で週当たり1日平均の運動として150kcal/日と計算。カロリーバランスは2314+150-(2000+α 週末外食や食事の変動など)から200kcal/日前後と認識。脂肪1㎏は7200kcalであり4月の1ヶ月で96→95㎏と1㎏の体重減少(200×30日=6000kcal)。

  • 現状の判断の重要性:方向性を決めるため現在の体重・体組成・基礎代謝の把握
  • 減量の最重要原則:消費量(基礎代謝・運動量・食事誘発性熱産生)>食事摂取量
  • 自己判断する摂取量は過少評価が多く、体重変化で状況判断必要(特に外食など)
  • 体重変化は短期間で判断するのではなく、長期的に変化を判断するべき

<飲酒・アルコールについて>

アルコールは嗜好品の一種であり好きな方も多いと思います。飲酒について相談される事もあり、まとめておきます。よくアルコールはエンプティカロリーだから飲んでも太らないですか?と聞かれます。そもそもエンプティカロリーとは高カロリーにも関わらず、体によって良い栄養素がほとんど含まれない事を意味します。アルコール以外にケーキ・クッキー・アイスクリーム・ソフトドリンク・マーガリン・ショートニング・ポテトチップスなどの揚げ物などがエンプティカロリーとされる食品になります。アルコールは1gあたり7.1kcalの熱量を持ちますが、体に吸収されると約70%熱産生となり残りにくいという考えがあります。ただすべてが熱産生になるわけではなく、アルコール代謝時に他の栄養素の代謝が遅れるとされます。また飲酒時に一緒にたべる食事量や脂質が多い食事が増えたりして、結局摂取カロリーが増加する事も多いようです。またビールや日本酒といったアルコールには糖質を含んでおり(ビール350mlあたり糖質約10g、日本酒180mlあたり糖質約6.5g)、注意が必要です。夕食時にご飯の代わりとして飲酒する場合がありますが栄養素からは別のものであり嗜好品として別の位置づけとなります。また飲酒は脂肪肝や肝疾患のリスク、中性脂肪をあげてしまうリスクとなり過剰摂取は色々な意味で注意が必要となってきます。

  • アルコールはエンプティカロリーの食品に含まれる
  • 多くが熱産生として消費されるが、他の栄養素の代謝を遅らせる
  • 飲酒時にはつい総摂取量が増えがち
  • アルコールに糖質が加わる飲み物はより注意が必要
  • ご飯(炭水化物)の代わりとして、アルコールをとらない事

<順調に見えても見直しが必要 栄養不足に注意 2023/5中旬から6月、7月>

2023/5クリニック開院に伴い時間がなくなり、有酸素運動の頻度が低下。週3~5回が週2~3回と少なくなり、自宅で簡単に出来る自重下肢筋トレを毎日5分を併用開始(運動量は100kcal/日)。また昼食事が少なくなり一日摂取2000→1600kcalと減少。カロリーバランスは-800kcal/日となり5~6月の2か月で6㎏体重減少(体脂肪5㎏減)有酸素運動頻度減少しましたが筋トレ併用、カロリーバランスマイナスになりさらに順調に低下していた様に見えます。しかし7月に入り急速に除脂肪体重が減少。体重自体は減りますが脂肪量は減る事なく除脂肪体重だけ減少する期間が続きます。原因は摂取カロリーが少い+蛋白摂取が極端に少なかったため、体脂肪はへらず筋肉量だけ低下する結果となっています。体重だけの結果であれば減少した事象から良い経過と認識しがちですが、体組成を確認することで方向性を修正する事ができます。

  • 有酸素運動+筋トレは効果的(運動時間を減らしても効率UP)
  • 過剰な食事制限はリスク(特に基礎代謝以下の食事は避ける)
  • カロリーバランスがマイナスの場合、蛋白摂取量不足は特に注意が必要
  • 客観的に判断して適宜方向性確認が必要

<カロリーバランスがマイナス時、食事摂取量と蛋白質摂取に注意 2023/7後半~8月前半>

体重減少しても除脂肪体重減少していたため、摂取カロリーを基礎代謝以上に増量ならびに蛋白摂取を増量。1600→1800→2000kcal・蛋白40→60→80→90gへ増量。カロリーバランスは‐800→‐500~600kcalへ落として蛋白摂取1g/㎏を目標に増量。脂肪減少は継続し、除脂肪体重は回復。医療の豆知識でもまとめましたが、日本人の蛋白質摂取が少ないことが問題となっています。従来の栄養指導時の設定では現体重ではなく標準体重または理想体重あたり1g/㎏となりますが多くの場合少ない目標設定であり、実際は更に蛋白を取れていないことが多いです。厚生労働省の推奨では蛋白から13~20%を摂取目標とされています。年齢別には50~64歳では最低14%~、65歳以上では最低15%~と年齢とともに蛋白摂取を増やす様にとされています。これは年齢とともに筋分解が早くなるため、しっかり食事から蛋白摂取しておかないと筋肉量が低下するためです。蛋白/摂取量で1~2%の違いではありますが、大きく食事の内容が変わってきます。例えば2000kcalの食事の場合、13%で260kcal(蛋白65g)・15%で300kcal(75g)・20%で400kcal(蛋白100g)と総摂取カロリーを変化させずに蛋白を取る事が難しい事がわかると思います。そして減量目的のカロリー設定の場合、より蛋白を多めに取らないと脂肪だけ残って筋肉がへる状況に陥ります。食事を過剰に制限しないようにする理由は、制限すると必要な他の栄養素を十分まかなう事が難しいこと・過剰な制限は体の代謝を維持する事が難しいためです。ただし健康状態によって蛋白制限をしないといけない場合(腎機能低下・肝機能低下など)があり、医療機関に通院されている方は確認が必要です。

  • 必要な栄養素を確保するため、過剰に摂取カロリーを減量しすぎない
  • 蛋白摂取は年齢とともに必要量が増える
  • 十分な量の蛋白を取れていないことが多い
  • 減量するためカロリーマイナス時には、通常以上に蛋白摂取を増やす必要がある
  • 安全な食事のため医療機関通院されている人は主治医に確認が必要

運動習慣が無く初めて運動始める場合には、脂肪を減少しながら筋量を増量することが開始後の3ヶ月程度は可能とされます。しかし長期間維持することは難しく、脂肪を減らす筋量を増やすかの方向性で食事内容が変わってきます。筋量をできるだけ維持して脂肪を減らすであれば上記の食事や運動である程度計算通りに管理ができると思います。筋量を増やす場合には、少し体脂肪も増えながら筋量を増やしていく事になります。

<筋量増量を目的とした場合>

脂肪減量目的ではなく筋肉量を増量したい場合には、一日消費カロリー以上を取る必要があります。そして蛋白摂取を蛋白1g/体重1㎏を少し超えるようにとり、無理なく継続できる筋トレを推奨します。運動習慣がなく体力に自身がない場合にはまず散歩から始めてみるのでよいと思います。その次にスロートレーニングと言われる椅子に座ってからのスクワット(立ち上がるのに4秒・座るのにも4秒)を試してみるのも良いと思います。更に負荷をかける場合には、自重を用いた下肢筋トレなども健康状況と相談しながら試していくのはどうでしょうか。

  • 十分な栄養摂取(一日消費カロリー以上)が必要
  • 十分な蛋白摂取(体重1㎏あたり1g以上、ただし過剰摂取は注意)
  • 下肢の筋トレ(有酸素運動では、筋量UPの効果が少ない)
  • 自身の健康と相談しながら、無理なく継続できる運動を(継続する事が最優先)

色々医療の豆知識や院長ブログにまとめてきました。食事と運動の私が思うコツを記載させていただきます。食事摂取カロリーですがよく標準体重や理想体重から食事摂取カロリーを計算されますが、個々の身体状況を判断した内容ではないため出来れば基礎代謝などから現在の消費カロリーを計算して調整することが理解やモチベーションUPにつながります。体重を減らそうとして一食抜いたり、炭水化物だけ抜くいわゆる糖質制限したつもりの取り組みをよく見ます。過剰なカロリー制限は必要な栄養素を十分とる事ができなくなります。3大栄養素のうち蛋白を十分にとることが必要ですが、制限しすぎると必要な必要蛋白量も取れなくなります。また食事を選ぶときに栄養成分表を参考にすると計算がしやすいですが、カーボカウント・蛋白カウントができると過不足の速やかな判断が可能になります。詳細は医療の豆知識に纏めていますのでご参照ください。肝疾患の栄養療法にLES(late evining snack)という考え方があります。肝機能が低下すると食事時間があくことにより肝の栄養状態が悪くなるため、就寝前に栄養を補う方法です。健常人でも夕食から朝食の時間が一般的には一番長く、栄養不足傾向となります。蛋白摂取後の血中アミノ酸レベルは長時間維持できないため、朝欠食では更に長時間栄養不足により筋肉の分解が促進するとも考えられます。また入院中の食事でも朝の蛋白量が少なく夕の蛋白量が多い傾向となりますが、日常生活でもその傾向は強いと考えます。蛋白摂取は一回にとる量が増えすぎると吸収効率が落ちるとされ、少なくなりがちな朝食を考えてしっかりとる事は大事です。必要な栄養素を確保するため予めいくつかの組み合わせを複数候補を作っておくと、考えるのが楽になります。よく生活習慣病の食事では制限されたと思ってしまいますが、必要な栄養素を選んで取りに行くと思うだけで前向きに楽しく取り組めると思います。人が健康でいるために食事だけでは維持する事が難しく、運動することも大事です。運動して少しの消費カロリーを稼ぐだけなら、その分食事を我慢するとう人もいます。脂肪を減らす時に運動が必要な理由はいくつかありますが、運動でカロリーを稼がないと必要な栄養素を取りに行くことができない動かないと筋肉の減少が早くなるカロリーバランスをマイナスにすると脂肪だけではなく筋肉も減少するなどがあげられます。分かりやすい例ではなんらかの理由で安静にしないといけない入院で食事がとれない場合です。食事と運動量が減る事により体重は減りますが、健康的な痩せ方ではありません。筋肉は合成と分解を繰り返して約80日で入れ替わるとされますが、加齢とともに分解速度が速くなります。若い時は筋量減少は少ないですが年とともに減少してしまい、肥満や動くことが難しくなったりします。今はよくても将来への備えのため、コツコツと貯筋しておくことが健康寿命を長くすることにつながると考えます。よく運動の種目で有酸素運動の散歩をされる方が多いと思います。健康のため散歩は非常に大事な運動ですが、過度にすると時間がかかり、関節など痛めてしまう可能性があります。またやりすぎは基礎代謝を落としてしまったり、逆に筋肉が減少する可能性もあります。人生を楽しむために健康であることが必要ですが、運動の時間効率をよくすることは自由に使える時間が増えることにもなります。下肢筋力の衰えを自覚される方も多くおられます。特に人は歩く必要があるため、下肢筋力低下は転倒や動くことが難しくなる原因にもなります。その一方で下肢筋肉は人体の中で一番大きく使っている筋肉にもなるため、運動の効果が出やすい部位でもあります。運動になれていない場合にはまず負担の少ない散歩から初めて、少しずつ下肢の筋トレを無理ない程度に継続するのが大事と思います。でも自身の健康や体調とよく相談して怪我がないように注意ください。でも結局は楽しんで継続できる運動があればベストだと思います。

<食事のコツ>

  • 食事摂取量は標準体重から計算ではなく、現在の消費カロリーを参考に決める
  • 過剰なカロリー制限は避ける:必要な栄養素を摂取できないから
  • 3大栄養素のうち特に蛋白をしっかり摂取
  • 炭水化物と蛋白の摂取量を計算できるように(過不足の速やかな判断に)
  • 欠食は避ける。特に朝食をしっかりとるように
  • 代表的な食品の組み合わせを複数作っておくと楽
  • 制限されるのではなく、必要な栄養を選んで取りに行く前向きな考え方

<運動のコツ>

  • 有酸素運動だけではなく、筋トレも必要
  • 運動の時間効率を高めることは、人生の使える時間を増やす事に
  • 鍛えるならもともと使う頻度と大きい下肢の筋肉を!
  • 無理して怪我しないように
  • マイペースで良いので、楽しみながら継続できる運動を選択

<脂肪減量しながら筋量UPする試み 2023/8月後半以降>

2023/8以降の試みは完全に趣味です。ゆっくりでも良いので脂肪を少し減少を試みながら、筋量UPのために摂取カロリー2000kcalのままで蛋白を90→100→130g(蛋白1.5g/体重1㎏、蛋白/エネルギー25%)と蛋白摂取量を増量。有酸素運動(水泳30分/回)は週2日、下肢~上肢の自宅での筋トレを週2~3回と時間効率を最優先して目標設定。カロリーバランスは-500kcal/日と目標しながらも、週末や時に平日もストレスためないように昼の食事を自由に摂取。2か月で脂肪は1~2kg減少にとどめますが、筋肉量は2kg増加。脂肪を減らすには有酸素運動が効果的ですが、筋肉量を増える=基礎代謝が増えることにより脂肪が減りやすくなります。色々な報告がありますが筋量1kg増加すると年間で2kgの脂肪が減るともいわれます。ゆっくりとしたペースで生活習慣の改善を楽しんでいきたいと思います。

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