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体力を増やすためには

2023.09.28
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今回も私的な意見も入るため「医療の豆知識」ではなく「院長ブログ」で記載させていただきます。よく体力をつけるにはどうすればよいですか?と質問を受けます。また血糖・脂質を改善するために食事の指導または控える様に説明を受け食事摂取エネルギーが少なすぎる場合や、過剰に有酸素運動(例えば散歩)をやりすぎている方をよく見かけします。

食事を控えて運動すればするほど健康になる」という信仰に捕らわれてしまい、逆に食事がとれなくなったり筋肉量が減り動けなくなっていく可能性がある事を知っておく事が重要になってきます。過剰な肥満(体脂肪が多い)は改善する必要がありますが、食事が十分とれる人は基本元気な人です。もりもり食事がとれていた方に食事を極端に制限していくと、いずれ食べられなくなってしまう可能性もあります。歩けば歩くほど筋肉量が増えると思い一日2万歩以上歩く方がおられますが、過剰な運動は逆に筋肉量が減少し関節を痛める可能性もあります。年齢や今までの考えから筋力低下し、特に下肢の筋力の低下を自覚されている方が多いのも事実です。そこでいくつかのポイントを記載させていただきます。

1)食事摂取カロリーについて

体力維持のためには、体重維持または筋力UPが必要になってきます。大事なのは食事をきちんと取る事です。ひとりひとり、一日で消費するカロリーは異なってきます。基礎代謝や一日消費カロリーの考え・計算方法については以前に記載した医療の豆知識や院長ブログをご参照ください。ただしどんなに良いバランスの食事でも総摂取カロリーが消費カロリーより少ない場合には、一部の場合(肥満・栄養状態が良い方で運動を始めた数ヶ月間)を除き、筋肉量は低下します。一日消費カロリーは必要量摂取を心がけましょう。血糖が高い・吸収が悪い・甲状腺機能亢進症などの代謝亢進等の疾患がなければ、体重減少する場合には食事摂取は不足しています。不足時にはバランスよく増やしましょう

2)食事摂取内容のバランス・朝食を大事に

いわゆるPFC(蛋白質・脂質・炭水化物)バランスが大事になってきます。年齢を重ねたり、独居であればどうしても炭水化物中心の食事(麺類が増えたり、簡単に食事をすませたり)になる事が多いです。また日本食は一般的にヘルシーとされますが、蛋白摂取量が少なくなり塩分摂取が多くなる傾向にあります。1)で上げた総消費カロリーをとりながら、蛋白質を必要量とる努力が必要です。問題は炭水化物1gと蛋白質1gが同じカロリーになります。ごはん50g(炭水化物として20g含有)=鳥肉100g(蛋白質20gを含有)が同じカロリーです。調理の手間やお金がかかることを考えると蛋白質を取ることが難しいことが想像できると思います。では具体的にどれくらい必要かですが、腎機能や肝機能に問題ない場合では体重×1gが最低必要になります。筋力UPを積極的に考える場合にはもう少し増やす必要な場合もあります。蛋白からのエネルギー摂取を13~20%と、指標が厚生労働省から出されています。特に高齢者は若い人より蛋白摂取を増やす(50~64歳では最低14%~、65歳以上では最低15%~)よう推奨されています。筋肉は常に分解と合成を繰り返しています加齢とともに筋分解がはやまっていくため、筋肉がつきにくいまたは何もしなければ年に3%程度減少していくとされます。適正摂取カロリーを過剰にオーバーしないように蛋白質を不足せずに摂取する食事を選択していく視点が大事になってきます。食事制限されるのではなく、どういった食事を選択していくかという前向きに食事を楽しむことが必要です。また食事摂取回数が少ない場合があります。具体的には一日二食(朝欠食)が多くみられます。一日に必要な食事を2分割になるため一回の食事量が増えることにより血糖上昇や体重が増加しやすくなります。また蛋白摂取して血中アミノ酸レベルを長時間維持できないことから、朝欠食すると夕から翌日の昼という長時間血中アミノ酸レベルが低下したままとなり筋の分解が進む可能性があります。そのためきちんと朝食をきちんととる事が大事になってきます。肝疾患の栄養療法に、夜間から朝にかけて栄養状態維持を目的に眠前にLES(late evening snack)として分岐枝アミノ酸と糖質をとることが推奨される場合があります。健常な方であっても長時間栄養が不足することは避けたほうが良いと考えます。

3)運動について

バランスの良い食事を意識するだけでは筋肉量維持やUPは難しいです。適切な食事と運動によって維持やUPが期待できます。散歩やジョギングなどの有酸素運動は筋量を上げ基礎代謝を上げる効果が期待されます。しかし有酸素運動をやりすぎると、逆効果になります。過剰な有酸素運動は筋肉分解を促進するため注意が必要です。個人的に週2-3日・一回30分程度の散歩や日常生活で運動と思っていない歩く歩数を増やすことを提案しています。また筋増量にはフィットネスクラブにいって筋肉トレーニングが効果的ですが、なかなか難しいと思います。自宅で簡単にできる下肢の自重トレーニング(週3日以上、一回10分程度)を最初にお勧めしています。下肢筋力に自身がなければ椅子やソファーに座った状態からのスクワットなども説明しています。

食事は好きなものを食べたい・考えて食べるのがめんどくさい・運動はつらい・めんどくさい・運動してもあまり変わらないと思ってしまうことが多いのも事実です。今動けるので大丈夫と思っても、近い将来に転倒・骨折のリスク筋力低下により日常生活に支障をきたす可能性があります。将来サルコペニアやロコモといった寝たきりのリスクを減らすために、体力が低下したかなと思った時にこそ見直してみませんか?

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