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体重減少に有用な薬剤について~情報のまとめ~

2023.04.02
  • 医療の豆知識

最近お問い合わせを受ける機会が増えている「体重減少に有用な薬剤」について記載させていただきます。  

  • マンジャロ(一般名:チルゼパチド、持続性GLP-1/GIP受容体作動薬)
  • ウゴービ(一般名:セマグルチド、GLP-1受容体作動薬)
  • SGLT2阻害剤
  • アライ(一般名:オルリスタット、内臓脂肪減少薬・要指導医薬品)

様々な効果をもつ糖尿病治療薬が病態やライフスタイルにあわせて選択できるようになっています。

個人的に一番の糖尿病薬剤の進歩は救う事ができなかった命を救える事が可能になったインスリン注射と考えますが、インクレチン関連薬(DPP4阻害剤やGLP-1受容体作動薬)・SGLT2阻害剤といった薬剤は大きく糖尿病治療を変えてきました。

インスリンやSU薬は非常に大事な薬剤ですが使用状況によっては、低血糖のリスクや体重増加の可能性があります。

インクレチンは食事により消化管から分泌される消化管ホルモンです。

インスリン分泌増加・グルカゴン分泌を抑制・消化管運動の抑制・食欲抑制などの効果によりインクレチンは糖の波を穏やかに低下させます。

インクレチンにはGLP-1GIPがありますが、DPP-4という酵素により数分で不活性化されてしまいます。

そのためDPP-4を阻害する内服薬や不活性化されにくくしたGLP-1受容体作動薬が使用されることが多くなっています。特にGLP-1受容体作動薬はDPP4阻害剤に比べて血糖降下作用が強く、体重を減らすことが期待できる薬剤があり、虚血性心疾患や糖尿病性腎症に効果的な報告もされています。

糖尿病は尿に糖が漏れ出てしまう病気ですが、SGLT2阻害剤は尿に糖が出やすくする薬剤になります。

尿糖として60~100g/日の糖を排出することにより血糖低下・血圧低下・体重減少が期待できます。

上記を踏まえて「体重を減らす」可能性のある薬剤情報について記載させていただきます。

 

<マンジャロ>

2型糖尿病治療薬のマンジャロ(一般名:チルゼパチド)は持続性GLP-1/GIP受容体作動薬として2023/4/18に発売決定されました。

後述するGLP-1受容体作動薬のセマグルチドは現在体重減少効果が一番期待できる薬剤ですが、マンジャロはGLP-1とGIPを同時に刺激する事により更に血糖降下作用ならびに体重減少が大きい薬剤となっています。

SURPASS J-mono試験は日本人2型糖尿病症例(平均年齢56.6歳、平均体重78㎏、平均BMI28.1)を対象に行われたマンジャロ(5㎎・10㎎・15㎎)とトルリシティ(GLP-1受容体作動薬 0.75㎎)を比較した第三相試験です。

結果はマンジャロ5mg:HbA1c -2.37%、体重-5.8kg/マンジャロ10mg:HbA1c -2.55%、体重-8.5kg/マンジャロ15mg:HbA1c -2.82%、体重-10.7kgと血糖管理ならびに体重ともに劇的に低下しています。

日本人対象ではありませんがマンジャロ(5㎎・10㎎・15㎎)とオゼンピック(1㎎)を比較したSURPASS-2試験(平均年齢56.6歳、平均体重93.7㎏、平均BMI34.2)があります。

結果はマンジャロ5mg:HbA1c -2.01%、体重-7.6kg/マンジャロ10mg:HbA1c -2.24%、体重-9.3kg/マンジャロ15mg:HbA1c -2.30%、体重-11.2kg/オゼンピック1㎎:HbA1c -1.86%、体重-5.7kgでした。

分かりやすく表にまとめましたのでご参照ください。

マンジャロはオゼンピックと比較して血糖降下・体重減少ともに効果が高いようです

マンジャロ2.5㎎から開始し5㎎を通常使用量として、効果不十分な場合には15㎎まで増量が可能です。

マンジャロ通常維持量の5㎎でもオゼンピック最大使用量の1㎎より血糖降下作用・体重減少ともに強いですが、新薬のため発売から1年間は2週間処方の制限があり有害事象などの確認が必要になります。

またオゼンピックには虚血性心疾患や腎症へのよい効果の報告がありますが、マンジャロは今後の結果(安全性・他疾患への有用性)を確認していく必要があります。

 

マンジャロ・オゼンピックは週に一回注射です。

1週間あたりの薬価はマンジャロ5㎎(3割負担1154円・1割負担384円)・オゼンピック1㎎(3割負担1651円・1割負担554円)・リベルサス14㎎488.5円(1週間3419.5円:3割負担1026円・1割負担342円)です。

マンジャロとGLP-1受容体作動薬(オゼンピック・リベルサス・トルリシティ)の費用目安の表を作成しましたのでご参照ください。

決して安い薬剤ではないですが、血糖値がさがらない・体重が減らない状況を改善する一助になる可能性があります。

 

<ウゴービ>

GLP-1受容体作動薬のオゼンピック/リベルサス(一般名:セマグルチド)は2型糖尿病治療薬ですが、体重減少効果ならびに血糖管理に有用な薬剤です。

ウゴービ(一般名:セマグルチド)は肥満治療薬として承認を2023/3/27に発表されました。

現在日本で使用可能な肥満治療薬はサノレックス(一般名:マジンドール)ですが高度肥満症(BMI35以上)に限定され強い副作用がでる可能性やアンフェタミン類似作用のため3ヶ月限定の薬剤であり、容易に使用ができない薬剤でした。

約30年ぶりに肥満治療薬としてウゴービは承認されました。

適応は食事療法・運動療法をおこなっても十分に効果が得られず以下に該当する場合です。

  • BMIが27kg/m2以上で2つ以上の肥満に関連する健康障害を有する
  • BMIが35kg/m2以上となっています。

 

肥満に関連した健康障害は下記になります。

  • 耐糖能障害 (2型糖尿病・耐糖能異常など)
  • 脂質異常症
  • 高血圧
  • 高尿酸血症・痛風
  • 冠動脈疾患
  • 脳梗塞・一過性脳虚血発作
  • 非アルコール性脂肪性肝疾患
  • 月経異常・女性不妊
  • 閉塞性睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群
  • 運動器疾患 (変形性関節症:膝・股関節・手指関、変形性脊椎症)
  • 肥満関連腎臓病

0.25㎎/週から開始し最大2.4㎎まで増量可能ですが、薬価や発売日はまだ不明です。

前述したように保険診療で安全性が高く長期間処方可能な高い減量効果が期待できる肥満症治療薬がありませんでした。

ウゴービによって多くの肥満症の方に対して保険治療が可能となります。体重を減らすことで様々な健康障害の予防や改善が期待されます。

必要な患者様が適正に使用すればメリットは大きいと考えます。注)2023/4時点では発売日未定のため、使用可能になれば改めてお知らせさせていただきます。

 

<SGLT2阻害剤>

SGLT2阻害剤は2014年から使用可能になった薬剤です。

通常腎臓の尿細管で再吸収され尿へ糖が漏れないようにSGLT2という蛋白質が働いています。

SGLT2阻害剤はこの蛋白質の働きを抑えて一日60~100gの糖を尿へ放出する薬剤です。

イメージとして一日で菓子パン1個分を尿から捨てると理解しやすいです。

肥満症治療薬としての適応はなく2型糖尿病(一部の薬剤には1型糖尿病にも保険適応あり)の治療薬です。

海外の臨床研究では健常者に使用した場合に2.8㎏(12週間・平均体重101.3㎏・プラシーボ群1.1㎏減少)体重が減少しますが減量効果としては強くありません

インスリン分泌には作用しないため単独使用では低血糖のリスクは少ない薬剤です。

血糖管理改善・体重減少・血圧低下の効果があり、最近では心不全慢性腎臓病にも保険適応となり病態を改善する可能性があります。

ただし副作用として糖質不足・エネルギー不足からケトーシスケトアシドーシスや筋肉量が減少するサルコペニア脱水症(場合により腎機能障害)のリスクがあります。

また尿糖が増える薬剤のため性器染症尿路感染症のリスクが増えますので注意が必要です。

病態を正しく判断して適切に使用すると非常に効果的な薬剤ですがむやみに使用することはリスクと思われます。

 

<アライ>

内臓脂肪減少薬アライ(一般名:オルリスタット)が要指導医薬品として2023/2に厚生労働省から製造販売承認された様です。

要指導医薬品は病院で処方される薬剤ではなく、薬局で購入できる薬品になります。

効能効果は腹部が太めな方(腹囲:男性85㎝以上、女性90㎝以上)の内臓脂肪および腹囲の減少(生活習慣改善の取り組みを行っている場合に限る)となっています

。アライは脂肪吸収阻害作用をもつオルリスタットを有効成分とした内臓脂肪減少薬です。

オルリスタットは消化管管腔内で脂肪分解酵素であるリパーゼの活性を阻害し、食事由来の脂質の吸収を抑制します。

消化管からの油の吸収を抑えることにより体重減少につながる薬剤です。

過去に他製薬会社から同様の薬剤発売が期待されましたが、保険診療の薬剤として効果が十分ではなく認可されなかった経緯があり、医療用医薬品ではなくOTC製剤(処方箋がなくても薬局で購入できる市販薬)として販売される背景もあるようです。

ただしオルリスタットは120㎎錠剤が医療用医薬品として100か国以上で承認され半量の60㎎が一般用医薬品として70か国以上で承認されています。

食事療法・運動療法を行い、オルリスタット内服で体重管理・内臓脂肪減少につながる可能性が高いと考えます。

副作用は下痢(油もの摂取が多い場合には脂肪便の増悪)であり、食事内容によっては対策が必要な場合もありそうです。

注)2023/4時点ではまだ薬価や発売日は不明です。

 

適切な食事療法や運動療法を理解し、病態にあわせた薬剤選択をした場合に効果が期待できると考えています。

サプリメントや薬剤でも効果がある以上、100%副作用がでず安全という事はありません。

 

当院では体組成計での身体状況の精密な把握(脂肪・筋肉量の推移評価)安全性を把握するため受診当日に血液検査・尿検査結果を提示できる体制を整えています。

生活習慣の相談や食事指導に対応できる医療スタッフがいますのでお気軽にご相談ください。

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