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体重管理のためエネルギー消費量を考えてみる~安静時基礎代謝量ならびに運動消費量~

2023.05.07
  • 医療の豆知識

安静時基礎代謝量ならびに運動消費量のエネルギーについて考えてみようと思います。愛媛大学在籍時に恩地森一名誉教授のご指導の元、栄養療法外来を外来責任医師として担当させていただいていました。当クリニックお知らせ一覧にINBODYご紹介ブログ内に当時の新聞記事もありますのでご参照ください。生活習慣病や肝疾患などを対象に科学的根拠に基づいた集中的な栄養指導を3ヶ月間、栄養士・医師など複数医療スタッフでチーム診療をさせていただいていました。安静時基礎代謝量測定は間接カロリーメーターを用いて実測し、安静時基礎代謝量・呼吸商(糖質燃焼中心か脂肪燃焼かなど推定)・運動量・食事摂取状況などを情報共有・相談しながら診療していました。一般的に体重減少(脂肪減少)のためには一日総エネルギー消費量>一日エネルギー摂取量である事が必要になってきます。

一日総エネルギー消費量の多くは安静時基礎代謝量(約60%)ですが、それに加えて食事誘発性熱産生(約10%)NEAT(家事などの日常生活活動などの非運動性活動non-exercise activity thermogenesis)ならびに運動消費量(合わせて約30%)などが加わります。NEATは肥満との関連性が指摘されています。(下図は厚生労働省 e-ヘルスネットから)

脂肪1㎏約7000kcalを消費しないと減少しないため、体重管理にむけて食事摂取や運動の方向性を確認するため現状を把握する必要があります。間接カロリーメーターを用いて安静時基礎代謝量・運動消費量を実測する事はなかなか大変ですが、推定する計算式がありますのでご紹介させていただきます。

<安静時基礎代謝測定推定>

1)厚生労働省の式:日本人の食事摂取基準2015・2020年度版

日本人の年代別基礎代謝基準値になります。加齢とともに筋肉量などの除脂肪量が減少する事により総エネルギー消費量が変わってきます。体重と年齢(層別分類)で安静時基礎代謝量を推定します。ただし標準的な体重の場合には問題ありませんが、極端に体重が偏る場合には誤差が大きくなります。極端な肥満ややせの状態には判断に適していません。肥満では過大評価(多く計算)やせでは過少評価(少なく計算)してしまいます。

安静時基礎代謝量(kcal/日)=基礎代謝基準値(kcal/kg/日) ×体重(kg)

2)国立健康・栄養研究所の式(Ganpuleの式)

上記の厚生労働省の式とは異なりBMI30㎏/m2程度までなら誤差を生じないとされます。特に標準体重から離れた場合にはGanpuleの式で計算すべきと考えます。

3)Harris-Benedict の式(日本版)

病院入院中患者様の栄養管理の指標(NST活動)や学会でよく用いられる計算式になります。ただし全体として過大評価の傾向にある(特に全年齢階級の女性と 20〜49 歳の男性で著しい)と報告されています。

4)Mifflin-St Jeorの式

Harris-Benedictの過大評価を修正したとされる1990年に提案された計算式になります。おおよそHarris-Benedictの結果の95%とされます。Ganpuleの結果と近いようです。

男性:9.99×体重(kg)+6.25×身長(cm)-4.92×年齢+5

女性:9.99×体重(kg)+6.25x身長(cm)-4.92×年齢-161

5)Schofield の式、FAO/WHO/UNUの式

国際的に使用されている計算式になります。体重のみのパラメーター又は身長・体重のパラメーターで、年齢や性別は考慮されていない計算式になります。

上記表は厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書P72・74から

6)Katch-McArdle式、国立スポーツ科学センター(JISS)の式 :除脂肪体重・体重から計算

体組成計で測定した体重・除脂肪体重から安静時基礎代謝量を推定する計算式になります。基礎代謝量は体重よりも除脂肪量と強い相関が見られ、今後適切な身体組成の評価により、精度高く基礎代謝量が推定できる可能性があるとされます。上記1)~5)は性別・年齢・身長・体重から推定する計算式でしたが、6)は筋肉量などを重視し、体重・除脂肪体重からの計算になります。体重が同じであれば、筋肉量が多い場合と少ない場合でも1)~5)は同じ安静時基礎代謝量の推定となりますが、6)除脂肪体重・体重から推定する事によりこの問題の対策をしています。JISSの式はアスリートまたは日常からジムなどで運動習慣のある方を得意とする計算式になります。

Katch-McArdle式  基礎代謝量=370+21.6×(体重 -(体重×体脂肪率))

JISSの式      基礎代謝量=28.5×(体重 -(体重×体脂肪率))

<推定必要エネルギー量・運動消費量の推定>

一日総エネルギー消費量は前述したとおり、安静時基礎代謝量(約60%)+食事誘発性熱産生(約10%)・NEAT(家事などの日常生活活動などの非運動性活動)ならびに運動消費量(合わせて約30%)の合計になります。すべてを個別に計算することは煩雑であり、厚生労働省は安静時基礎代謝量活動性を3群に分けて活動係数をかけて一日総エネルギー消費量(必要量)を計算する目安を提示しています。下図は厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書P76.79から

推定エネルギー必要量(kcal/日)=基礎代謝量(kcal/日)×身体活動レベル

日常生活に様々な運動がありますが、各運動による消費カロリーは次の計算式で推定できます。趣味の運動や継続可能または予定されている運動による消費カロリーの目安になります。消費カロリーを増やすには運動は非常に効果的です。また心肺機能も維持する事ができ継続可能な運動を続けていく事は非常に大事な事となります。各運動のMETsの参照は国立健康・栄養研究所のHPより改訂版「身体活動のメッツ(METs)表」をご参照ください。

消費カロリー(kcal) = METs×体重(kg)×運動時間(Hr)×1.05

安静時基礎代謝は骨格筋22%・脂肪組織4%・肝臓21%・脳20%・心臓9%・腎臓8%・その他16%で規定されます。安静時基礎代謝を増やすためには筋肉量を増やすのが目標として立てやすいと考えます。また内臓由来の基礎代謝を落とさないために、冷たいものなどの過剰摂取を控える(冷えると代謝低下)・腸内環境を整える(食物繊維や乳製品など摂取)・節酒(内臓を冷やしたり負担の原因)・バランスよく食事摂取(特に適切な蛋白質摂取は食事誘発性熱産生が多く、アミノ酸摂取は脂肪が燃焼されやすくなります)が有用とされます。また極端な食事制限は逆効果となることが多いとされます。

当クリニックは体組成計にて骨格筋を正確に測定することにより正確な身体状況把握を行い、筋肉量による安静時基礎代謝を推定する事ができます。体組成測定希望されない場合でも性別・年齢・身長・体重などからの推定結果を提示もさせていただきます。経験豊かな管理栄養士によるサポートをさせていただきます。実際には理論通りには難しいかもしれませんが、現状を判断し継続可能な目標をたてるのに少しでも役立てればと考えます。

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