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健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023を踏まえて~運動習慣を少し始めてみませんか?~

2023.12.07
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2023年11月27日に厚生労働省の専門家検討会が開かれ、10年ぶりに「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」が策定されました。SNSやニュースで「歩行一日60分以上、筋トレ週2-3回」の言葉が広がり賛否両論があったようです。ただ急に概念がでてきた訳ではなく、平成元年(1989年)に「健康づくりの運動所要量」が算定され、順次内容ならびにタイトルが変更されながら続いていました。10年前の2013年には「健康づくりのための身体活動基準2013」が算定され、上記のとおり10年ぶりに改訂されました。運動は健康に良いと認識しながらも時間・お金・余裕がなく出来ないと思う方が多いのも事実と思います。10年ぶりに改訂された変更内容や基本的な推奨基準を知り、まず運動習慣を0から1にしてみませんか?

<10年前からの変更内容・概念の基本骨格について>

左の表が今回2023年度版として策定された内容になります。右の表は2013年のものになります。今回いくつか変更されていますが基本骨格は同じとなっています。タイトルが「基準」→「ガイド」となり、すべての人が等しく取り組む内容ではなく、個人差を考慮し可能なものから取り組む事としています。成人においては週23METs以上の身体活動ならびに3METs以上の運動(身体活動ではない)を4METs・時/週が推奨されています。高齢者においては10→15METs/週に身体活動が引き上げられ、多要素な運動(サーキットトレーニングの様な有酸素運動・筋力トレーニング・バランス運動など組み合わせる運動・体操やダンス、ラジオ体操、ヨガなど多様な動きを伴う運動)を週3日以上が推奨されるようになりました。成人・高齢者において週2~3回の筋力トレーニングが目標として組み入れました。また概念として「座位行動」が取り入れられ、出来るだけ座りっぱなしを避ける30分おきに座位を中断など)ように推奨されています。

<運動設定の根拠について>

成人を対象としたコホート研究の結果、生活習慣病発症予防には週19~26METs(平均23METs)であること・日本人を対象とした研究では22.5METsより多い場合で効果があることから23METs・時間/週となりました。左の図は疾病発症・死亡リスクと身体活動量のグラフです。確かに23METsまではリスク減少が続いていますが、数METsの活動量が少ない場合でも運動0に比べてリスク軽減が大きいと思われます。高齢者では従来10METsの運動が推奨されていましたが15METsでは総死亡及び心血管疾患死亡のリスクを約30%低下するとしています。ただし成人と同じように高齢者でも7.5METsと推奨運動量の半分でもリスク約20%軽減しており、0から運動習慣を始める事により大きなメリットが得られえると思います。一日10分の身体活動を増やすことにより、生活習慣病発症や死亡リスクが約3%低下すると推測されています。推奨運動量を継続はハードルが高いと思いますが、まず「0を1にすることにより、大きなリスク軽減が得られる」とも考えられます。推奨運動量を継続することはハードルが高く、個人的には一日に20分(分割前提で食後3~5分+時間あるときに5分など)で2000歩の歩数を稼ぐ有酸素運動を説明しています。短期間頑張るのではなく、継続できる運動習慣つくりが何よりも重要と考えます。

<筋力トレーニングについて>

推奨運動内容に筋トレが年齢問わず入ってきて、戸惑う人も多いと思われます。日常生活で筋肉トレーニングを行っている人は9~29%とされており、運動習慣に筋トレがなじみがないのも事実です。筋トレにて筋力、身体機能および、骨密度が改善し、高齢者では転倒や骨折のリスクが低減するとされます。筋トレを実施している群は、実施していない群と比較して、総死亡および心血管疾患全がん糖尿病肺がんの発症リスクが、有酸素性の身体活動量に関わらず、10~17%低いことが示されています。運動と言えば散歩などの有酸素運動を継続される場合が多いのですが、有酸素運動に筋トレの両方を行うことにより総死亡リスクを大きく下げることが出来るとされます。

筋力トレーニング(筋トレ)とは、負荷をかけて筋力を向上させるための運動であり、自分の体重を負荷として利用する自重トレーニング(例:腕立て伏せやスクワット)やウエイト(おもり)を負荷として利用するウエイトトレーニング(例:マシンやダンベルなどを使用する運動)があります。筋トレする部位として特定の部位を重点的に鍛えるのではなく、胸、背中、上肢、腹、臀部、下肢などの大きな筋群に負荷がかかるような筋トレ全身まんべんなくが推奨されています。成人および高齢者に、筋トレ頻度として週2~3日実施することを推奨されています。ただし日常生活レベル以上の負荷で筋トレを開始し、少しずつ負荷を高めていく( =漸進性過負荷の原則)ことが重要ともされています。スポーツジムに行くことが必要ではなく自宅で負担がきつくない運動から始めて慣れてくると、徐々に負荷を増やして怪我無く継続できることが重要と思います。何の種目をどれくらいすればよいのか個人差もあり悩ましいと思います。有酸素運動でもそうなのですが、まず運動習慣が無いからまず始めてみて継続できることが何よりも重要と考えます。筋トレ習慣がない方にはまず大きな筋肉として下肢(脚・臀部)の筋トレをお勧めしています。全身まんべんなくと推奨されていますが、無理なく短時間でも効果が期待でき継続できる下肢だけのトレーニングを個人的に推奨します。種目としてはスロートレーニング(関節の疼痛や痛める可能性、筋力が低下している場合)・スクワットランジなど一回5~10分を週2-3回の負担を極力減らした種目で開始し、体力的・精神的にも余裕ができれば少しずつ増やすのが良いのではないかと考えます。

<座位行動ついて>

今回のガイド更新にともない、座位行動の概念がはいってきました。平成25年の国民健康・栄養調査によると、平日1日の総座位時間に関して8時間以上と回答した男性は38%、女性は33%の様です。世界20カ国における平日の総座位時間を調査した研究でも、日本人の総座位時間は世界的にみてかなり長いことが報告されています。座位時間と死亡リスクの関係について検討した34件のコホート研究を統合したメタ解析によると、座位時間の増加に伴い死亡リスクが増加するとされます。以前の基礎代謝関連のブログ記事でも記載しましたが、肥満者は座位行動が多いことも報告されています。

健康のために少しでも座位の時間を減らす事が必要のようです。30分に一回座位行動を中断することが食後血糖値やインスリン抵抗性、中性脂肪といった心血管代謝疾患のリスク低下にとって重要とされています。立位が難しい場合でも少しでも体を動かすことが推奨されています。座位時間が8時間かつ運動量が少ない場合、座位時間4時間以内かつ運動量が多い人に比べて脳卒中のリスクが約7倍と高い報告があります。出来るだけ座りっぱなしは避けたほうがよいと考えます。

<ちょっとの運動を継続してみようと思える後押し>

厚生労働省の推奨ガイドを満たすのはなかなか運動習慣がない場合には、難しいと思います。ガイドからも10分余分に身体活動を増やす30分おきに座位行動を中止する・可能な範囲で筋トレするなどを推奨されています。ちょっとした運動でも運動習慣0から1へすることが何よりも大事と考えます。ちょっとだけ運動してみようかな?と思えることをリストアップしてみようと思います。

  • 1日あたり10分の身体活動を増やすことで、生活習慣病発症や死亡リスクが約3%低下する
  • 推奨運動量までいかなくても、運動0から比較すると死亡率が大きく低下する
  • 運動量を5分位でわけた場合、最下位から二番目(散歩15分程度)の群は運動0の群に比べて死亡率が14%・寿命3年の差と報告あり
  • 30分に一回座位行動をやめると、インスリン抵抗性改善・食後血糖低下・心疾患のリスク軽減に
  • 食後数分歩くことで食後血糖上昇を抑える可能性がある
  • 筋トレにより総死亡および心血管疾患、全がん、糖尿病、肺がんの発症リスクが、有酸素性の身体活動量に関わらず、10~17%低い

<個人的に勧めている無理なく開始・継続できる運動>

  • 出来るだけ座位時間をへらす(30分に一回は座位を中断してちょこちょこ動くイメージ)
  • 一日1000歩(10分)~2000歩(20分)を分割(朝10分昼5分夕5分など)して稼ぐ
  • 有酸素運動するときに無理して稼がない(短期間無理より長期間継続できることが重要)
  • 下肢の筋トレから始めて週2日やってみる(スロートレーニング→スクワット・ランジなど)
  • 体力やメンタル的に余裕できれば、過剰にならないように少しずつ量や部位を増やす

推奨運動量は効果が高く目指すことは重要ですが、少しだけ運動(一番上をするのではなくちょっとだけ運動する)を継続できることでも大きくリスクを軽減して生命予後を延ばす可能性があるようです。座る生活を減らして、余裕がある時間を見つけて少しだけ歩いたり、ちょっとだけの筋トレもはじめてみませんか?運動だけでなく食事の内容も重要のため、相談も行っていますのでお気軽にご相談ください。

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