2型糖尿病治療薬のマンジャロ(一般名:チルゼパチド)は持続性GLP-1/GIP受容体作動薬として2023/4/18から使用可能になりました。またGLP-1受容体作動薬のセマグルチド(一般名:オゼンピック・リベルサス)は体重減少効果が期待できる薬剤ですが、マンジャロはGLP-1とGIPを同時に刺激する事により更に血糖降下作用ならびに体重減少が大きい薬剤となっています。
SURPASS J-mono試験は日本人2型糖尿病症例(平均年齢56.6歳、平均体重78㎏、平均BMI28.1)を対象に行われたマンジャロ(5㎎・10㎎・15㎎)とトルリシティ(GLP-1受容体作動薬 0.75㎎)を比較した第三相試験です。結果はマンジャロ5mg:HbA1c -2.37%、体重-5.8kg/マンジャロ10mg:HbA1c -2.55%、体重-8.5kg/マンジャロ15mg:HbA1c -2.82%、体重-10.7kgと血糖管理ならびに体重ともに劇的に低下しています。日本人対象ではありませんがマンジャロ(5㎎・10㎎・15㎎)とオゼンピック(1㎎)を比較したSURPASS-2試験(平均年齢56.6歳、平均体重93.7㎏、平均BMI34.2)があります。結果はマンジャロ5mg:HbA1c -2.01%、体重-7.6kg/マンジャロ10mg:HbA1c -2.24%、体重-9.3kg/マンジャロ15mg:HbA1c -2.30%、体重-11.2kg/オゼンピック1㎎:HbA1c -1.86%、体重-5.7kgでした。
分かりやすく表にまとめましたのでご参照ください。
マンジャロはGLP-1受容体作動薬と比較して血糖降下・体重減少ともに効果が高いようです。マンジャロ2.5㎎から開始し5㎎を通常使用量として、効果不十分な場合には15㎎まで増量が可能です。マンジャロ通常維持量の5㎎でもオゼンピック最大使用量の1㎎より血糖降下作用・体重減少ともに強いですが、新薬のため発売から1年間は2週間処方の制限があり有害事象などの確認が必要になります。またセマグルチド(一般名オゼンピック・リベルサス)には虚血性心疾患や腎症へのよい効果の報告がありますが、マンジャロは今後の結果(安全性・他疾患への影響)を確認していく必要があります。
体重管理・血糖管理に期待される持続性GLP-1/GIP受容体作動薬ならびにGLP-1受容体作動薬ですが、継続するにあたり医療費を考慮に入れる必要があります。どちらも週一回の注射または一日一回の内服薬剤になります。1週間あたりの薬価はマンジャロ5㎎(3割負担1154円・1割負担384円)・オゼンピック1㎎(3割負担1651円・1割負担554円)・リベルサス14㎎488.5円(1週間3419.5円:3割負担1026円・1割負担342円)です。マンジャロとGLP-1受容体作動薬(オゼンピック・リベルサス・トルリシティ)の費用目安の表を作成しましたのでご参照ください。
決して安くはない薬剤ですが血糖値がさがらない・体重が減らない状況を改善する一助になる可能性があります
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