糖尿病は合併症が怖い病気になります。よく「しめじ」として神経障害・網膜症・腎症と最小血管障害の合併に注意がされます。今回はその糖尿病性腎症による腎機能低下をできるだけ防ぐ説明をさせていただきます。糖尿病が強く疑われる人は約1000万人・糖尿病を否定できない人が1000万人の合計2000万人が耐糖能異常とされています。現在34万人を超える方が透析されています。そして透析導入の原因疾患は糖尿病は一位で40%を超えています。ただ糖尿病と診断されてもすぐに透析が必要になることはまずありませんが、血糖管理不良の期間や罹病期間が長くなってきますとリスクが高くなってきます。尿蛋白が顕性化してくるある一定の時期(腎症3期)から糸球体ろ過量(eGFR)が直線的に低下していきます。一般的にeGFRが10を下回ってきますと透析の準備が必要になってきます。例えばeGFR30の方が年間にeGFR5低下する場合には4年後に透析導入になる計算になります。透析を予防または導入時期を延長させるためには、糸球体ろ過量をできるだけ落とさないことが必要になってきます。ある日突然透析になりますと言われて慌てずにすむように、早めに知り・対応することが回避するうえで非常に大事になります。
<糖尿病性腎症の悪化を防ぐためには>
- 血糖管理の是正(低血糖を回避しHbA1c<7%を目標に)
- 血圧管理(130/80未満)
- 塩分過剰摂取の回避
- 水分摂取(脱水にならないように)
- 腎機能悪化を防ぐ可能性のある薬剤の選択(GLP-1受容体作動薬やSGLT2阻害剤など)
- 脂質異常の改善
- 適正体重の管理(肥満は腎機能悪化の原因になります)
- 適切な運動
- 腎機能低下の場合には蛋白摂取の調整(腎機能低下時に蛋白過剰摂取は負担になります)
- 腎性貧血の改善
まず最初に状態を知る必要が重要になってきます。糖尿病診療では尿検査が重要になってきます。尿糖の有無だけではなく尿蛋白有無・微量アルブミンの確認が早期腎症のチェックには重要です。また腎機能を定期的に確認することによりハイリスクかどうかを判断することも可能です。生活習慣病として糖尿病はcommon diseaseとして一般的に診療を受けられています。
出来るだけ透析導入となる患者様を減らそうとして、基幹病院中心に透析予防指導をされています。ただ難しいことを行っているわけではなく、まず知っていただく(啓蒙)ことから入り一般的な加療の確認となります。「知らなかった」から「理解した」が非常に大事となります。早く知りそして知っていれば対応できたことが、出来なくなることがないように健康を守っていきましょう。